クリニックブログ

2020.04.20更新

喫煙と新型コロナウィルス感染症リスクとの関連性は、まだエビデンスが少ないこともあり、結論付けることは時期尚早と思われますが、現在までにどのように議論されているか調べてみました。中国で1099人という大規模な患者さんを対象にした研究によりますと、新型コロナウィルス感染症が重症化した患者さんの割合は非喫煙者では14%であるのに対し、喫煙者では24%と1.7倍高いデータが示されました。また、同じく中国の武漢市の医療機関からの報告によりますと、喫煙歴のある人とない人では重症化するオッズ比が14.285、すなわち前者が約14倍重症化するリスクがあるという結果でした。実際、たばこを吸っていた患者さんが肺の手術で切除された肺の組織を用いた研究では、肺胞細胞に新型コロナウィルスが付きやすくなるACE2受容体タンパクが多数発現していることが確認されました。喫煙者は新型コロナウィルスに罹りやすいことが示唆されたのです。これらの結果を踏まえ、日本禁煙学会は禁煙することで感染のリスクや重症化のリスクは低減し、やがて非喫煙者と同等になるとコメントしています。今からでも遅くありませんので、早急に禁煙治療をすることを勧めます。

投稿者: みなと芝クリニック

2020.04.09更新

前回の補足となりますが、アンギオテンシンII受容体AT1拮抗薬はACE2受容体を増加させる作用のあることが報告されています。ある研究者はACE2受容体が増えると、新型コロナウィルスがACE2を介して感染するリスクが増加するのではないかと述べていますが、これら降圧剤服用者に感染者が多いという証拠は今のところありません。ACE2受容体は元々子供に少なく、年齢とともに増加し、女性よりも男性に多いとされています。糖尿病や高血圧の方にもACE2は多く発現していると言われています。従って、高齢の男性で特に糖尿病や高血圧のある方は、新型コロナウィルスに感染しやすく、重症化しやすいといえます。欧米の循環器系学会はアンギオテンシンII受容体AT1拮抗薬は心肺系の合併症の発症を抑える働きがあるため、内服されている方は中断することなく継続されるように声明をだしていますので、どうぞご不安なく生活してください。

投稿者: みなと芝クリニック

2020.04.03更新

新型コロナウィルス感染拡大の最中、東大の医科研が日本の鳥居薬品が開発したナファモスタット(商品名 フサン)という膵炎の薬が、新型コロナウィルスの感染予防効果があるとの発表をしました。以前より、SARSコロナウィルスやMERSコロナウィルスに対して、ナファモスタットと同類のカモスタット(商品名 フォイパン)のウィルス感染阻止効果が報告されていましたが、今年の3月にドイツの研究グループが新型コロナウィルスに対してもカモスタットのウィルス感染阻止効果があることを報告しました。2016年のSARSコロナウィルスに対してカモスタットを用いた動物実験ではヒト換算で、カモスタット300㎎/日の投与でウィルス感染阻止の有効性が確認されております。この量は術後の逆流性食道炎に投与する量に相当しますので、安全性は確保されています。ただし、ドイツの報告では新型コロナウィルスに対しては、in vitroの実験系ではありますが、ヒト換算するとかなりの量のカモスタットを投与しないと効果が認められないということです。その点、ナファモスタットはカモスタットの10分の1以下の量で効果が認められるということで、臨床応用が期待されているのです。ナファモスタットもカモスタットもコロナウィルスに対しての感染阻止機序は同じなので、経口剤のカモスタットで臨床応用ができれば理想かと思われます。カモスタットの有効投与量はまだ不詳ですが、更なる動物実験などで明確になれば、ワクチンが未だ開発されていない現状では、予防薬としての期待が大きくなります。

投稿者: みなと芝クリニック

2020.04.02更新

前の内容が前座となりますが、最近の知見では新型コロナウィルスはアンギオテンシン変換酵素2(ACE2)受容体に結合することにより、ACE2の活性を低下させ、その結果、増加したアンギオテンシンIIがアンギオテンシンII受容体と結合し、アルドステロンの上昇を引き起こすことがわかっています。過剰に増えたアルドステロンはアルドステロンブレークスルーによる心血管系障害を引きおこし、肺炎や心不全を悪化させると考えられています。新型コロナウィルス感染者において、急激に肺炎が進行し致命的になる理由の一つと考えられています。特に前述のアンギオテンシンII受容体AT1拮抗薬を服用されている高血圧症の患者さんではアルドステロンブレークスルーのリスクが高くなると考えられますので、アルドステロンブレークスルーを起こしにくいオルメサルタンやアジルサルタンを含む降圧薬に切り替えることで、新型コロナウィルス感染症の重症化を防ぐことが期待されます。血圧の薬を服用されている方で、ご自身の処方箋を一度、見直してみてはいかがでしょうか。

投稿者: みなと芝クリニック

2020.04.02更新

血圧を調節するホルモンであるレニン-アンギオテンシン-アルドステロンの分泌量が増すと血圧が上がることが知られております。降圧薬(血圧を下げる薬)の一部にはこのホルモンの働きを抑えて、血圧を下げるものがあります。このうちのアンギオテンシンというホルモンが血圧上昇の最も重要な鍵を握っています。アンギオテンシンにはIとIIがあり、IIはアンギオテンシン変換酵素によりIから作られます。アンギオテンシンIIは血圧調節の中心的な働きをしているため、降圧薬はアンギオテンシンIIを標的として開発されてきました。その降圧薬の一つにアンギオテンシンII受容体AT1拮抗薬があります。この受容体をブロックすると、アンギオテンシンIIの作用が減弱しますが、この状態が長期間持続するとアンギオテンシンIIがアンギオテンシンに変換されなくなるので、アンギオテンシンIIの濃度が上昇した状態が続きます。その結果、アンギオテンシンIIがアンギオテンシンII受容体AT2を刺激し、アルドステロンが過剰になります。いわゆる、アルドステロンブレークスルーと呼ばれており、血圧が上昇するなどの心血管障害を進展させる有害事象が起こります。この事象が生じる頻度は6か月服用で約10%、1年で約53%と言われています。しかし、アンギオテンシンII受容体AT1拮抗薬のうち、オルメサルタンとアジルサルタンはアンギオテンシンIIをアンギオテンシンに変換するアンギオテンシン変換酵素2(ACE2)を活性化することで知られており、ACE2がアンギオテンシンIIをアンギオテンシンに変換することで、アンギオテンシンIIの濃度が低下し、アルドステロンブレークスルーが起きにくくなります。もし、降圧薬を服用している方で、最近、血圧の下がりが悪くなったと感じていましたら、かかりつけ医に相談することを勧めます。

投稿者: みなと芝クリニック


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