クリニックブログ

2015.03.30更新

先日、2011年の癌統計が発表され、話題となっております。男性は1位が胃癌、2位が前立腺癌、3位肺癌で、女性は1位が乳癌、2位が大腸癌、3位が胃癌でした。男性の前立腺癌が2位に入ってきたのは驚きでした。米国では多く、その予防や治療法の研究に多額の研究費が組まれています。原因が生活習慣に関わっているかどうかよくわかっていないのが現状ですので、例えばピロリ菌を除菌したり、禁煙したりする予防策もないようです。今のところ早期発見、早期治療しかありません。前立腺は高齢者では場合によっては不用になりますので、乳癌の場合と同様に遺伝子解析の結果で、癌になる前に取ってしまうようなことが将来的にはあり得るかもしれません。しかし、前立腺癌は潜伏癌である場合もありますので、最後まで症状がでない。腫瘍マーカーとしてはPSAがありますが、感度的な問題もあり絶対的なものでもないようです。今後、日本人の意識も変わり、前立腺の研究者が増えていくことに期待したいと思います。

投稿者: みなと芝クリニック

2015.03.19更新

先日、腸内細菌をテーマにNHKが特集をしていました。当院でも以前よりアレルギー患者さんや過敏性腸症候群の方に乳酸菌が症状改善に有効であると経験的にわかっていました。それがより科学的に実証されつつあるのです。特に日和見菌であるバクテロイデス属の菌に糖尿病や肥満を予防する効果があるそうです。バクテロイデス属の菌の中には大腸癌のハイリスクがあるという説もあるので、同属でも善玉と悪玉が混在しているようです。善玉のバクテロイデスを増やすためにはポリフェノール(ブルーベリーなど)、βグルカン(大麦など)、食物繊維(ごぼうなど)を摂ることをお勧めします。甘味料はオリゴ糖がベストのようです。これらに特化したサプリメントもあります。潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患の患者さんでは健常なヒトの便移植をすると劇的に効果があるという話もあります。自分の腸内細菌の様子を知っておくことは健康を維持するために重要だなと改めて考え直した次第です。

投稿者: みなと芝クリニック

2015.03.14更新

ピロリ菌感染が胃潰瘍や胃癌の原因と成り得ることが広く一般に知れ渡るようになり、健診や人間ドックでピロリ菌感染も調べられるようになってきました。それとともに除菌を希望される患者さんが多くなっております。健診後の診察で除菌を勧められるようです。除菌は胃酸の分泌を抑える薬と抗生物質2種類を1週間内服するだけの治療ですが、保険適用で治療する場合は事前の胃内視鏡検査が必須となります。この点をあまりご存知ない患者さんがおられるようで、バリウムの検査で異常なしといわれているから内視鏡する必要がないのではと仰る方が後を絶ちません。確かに異常はないと思いますが、除菌適応の条件にピロリ菌感染症に加えて慢性胃炎があることと書いてあります。慢性胃炎はよっぽど進行していればある程度バリウム検査でも診断できますが、軽微なものでは内視鏡検査で診断します。ペプシノーゲン法という血液検査でも診断できますが、胃炎の範囲をみることは不可能です。もし、胃粘膜に異常があれば細胞を採取して検査することも可能です。すなわち、病変の見落としを少なくするのが目的です。従って、胃内視鏡を行うことが大事なのです。健診で内視鏡をされた方では、概ね半年は結果が有効ですので、検査日がわかれば除菌治療を保険診療で行うことができます。ピロリ菌感染は放置していた時のデメリットが大きいと思いますので、是非除菌をお勧めします。

投稿者: みなと芝クリニック

2015.03.12更新

先日、元同僚の鈴木君が長年かかって論文を出しました。内容はインスリン様成長因子が胆道癌細胞から分泌されていること、そしてその発現量が予後と相関しているということです。この因子は他の癌細胞ではかなり解析されており、抗がん剤として受容体の阻害剤の開発が進んでいますが、胆道癌で本因子の発現を証明した研究は希少ですので、大変価値のある論文です。手前味噌ですが私も共著者とさせていただきました。本因子をターゲットとしたいわゆる分子標的治療薬は、他の分子標的治療薬で賄いきれない領域をカバーすることが期待されます。副作用としてはインスリン様分子の働きを阻害するため、糖尿病の状態になる恐れがあります。高血糖の状態は癌の治療にも影響しますので、対策としてはSGLT2阻害剤のような血糖を下げる薬を併用するといいのではないかと考えています。いずれにしても今後の研究開発に期待したいと思います。

投稿者: みなと芝クリニック

2015.03.05更新

大学の非常勤講師や学会の評議員をしていますと、学会誌の投稿論文の査読を依頼されたり、意見を求められることがあります。最近思うのですが、研究方法は高度であるにも関わらず、考察や結論に至る根拠が実験データを基にするのではなく、他人の論文の引用だけで済ましたり、単に推測だけにとどめ今後の研究に期待するなどで終わっている論文が多いような気がします。恐らく研究を始める段階でとりあえずやってみて、結果が出てから考えればいいということなのでしょう。ですから結果が出てから結論につじつまを合わせるような考察をしてしまうのです。通常は研究計画の段階である結論を導きたいと考えた時に、どのようなデータが必要であり、そのためにどのような実験を行うかをシミュレーションします。研究は発想の次にこの段階が重要で、いろいろ論文を読んで検討します。質よりも量を重視した最近の傾向の弊害と思われます。多くの論文を出せば点数が上がり出世できるという風潮がある以上仕方ないのかも知れませんが、やはり指導者がきちんと若い研究者を指導するべきです。学位論文もコピペという話もありました。インターネットにより若い人の情報収集能力は向上しましたが、考える力が衰えているという報告もあります。私と同世代はそろそろ教授や指導者の立場にある人が多いと思います。我々がしっかりと責任を自覚していかなければならないと思います。

投稿者: みなと芝クリニック

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